2019年07月24日
敵は外にはいない
約3年前に脳幹出血で意識不明の重体となった私は、寝たきりで発声も唾の飲み込みもできず、眼も視えず全身も動かず心臓と肺だけ動いていて「このまま死亡しなければ一生植物状態か」と医師にも憶測されるところまで行ったのに、あの世を体験した後に意識が戻って身体も少しずつ動くようになってから約3年が経ちました。
歩くことを中心に、人としての身体機能を取り戻すために連日訓練を積んできました。約一年くらいで視力を取り戻したときの歓びは大きなものがあり、未だに空や雲を眺められるだけでも感激です。ただ、立ったまま見上げようと首を上げるだけで転倒しそうになるため、夜空を見上げることはまだ危険で躊躇しています。
半年前に仲介屋の担当者とヨレヨレ歩いて探して決めた妻のサロン兼私の事務所には、これまでバスと電車を乗り継いで行っていたのですが、今日初めて徒歩で往復できました。健康な人の足で片道30分くらいですが私にはその倍くらいかかります。それでも躓くこともベンチに座り込んで休むこともなく歩いて移動できたことは感慨深いものがあります。倒れる前ならば100m走で10秒切ったくらいの快挙です(笑)。
傍からしてみれば「たったそれだけのこと」であっても、基準は自分の中にしかないので達成感も喜びも伴うわけです。
皆さんにお伝えしたいことは、他人との比較で勝ち負けを競うことの虚しさです。何であってもクリアする基準は各々が決めることであって、他人のモノサシでは意味をなさないということ。
すべては自分との闘いなのです。