お知らせ

2020年11月24日

嘘をつかない努力

40年前頃には飛び込み訪問の営業がよくありました。

その際に知的障がい者の弟が家に居合わせていた場合、10歳くらいの私にとって笑いと困惑を常にもたらしていました。

 

それは、まったく嘘をつけないという特性によるものです。

例えば「出っ歯」の営業担当者が訪問してきたとすると、おもむろに口の部分に指をさして驚くのです!

弟は話せないので奇声を発するだけでしたが、それに対する訪問者の反応がただならぬ笑いを誘うのです。私は子供ながらにも「失礼だから笑ってしまってはいけない」と堪えながら涙を流して腹を震わせたことが何度あったことか。

私自身も7歳頃、隣に越してきたご婦人が茶色い白髪染めをしていたので「おばさん外人なの~?」と正々堂々と質問していたことを思い出します(笑)。

 

見て見ぬフリ、楽しそうなフリ、悲しそうなフリ……ある意味小さな嘘をつきまくることが「大人になる」という事でもありますから、全く嘘もつけないまま大人になったのなら社会不適合者となることが確実。

 

誰もが若い頃は努めて嘘つきにならざるを得ないわけですが、熟年は逆に正直になるよう努めなければ「偽りの人生」のまま。
気持ちよく他界できるかどうかはそこにかかっているのです。